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2007年08月25日
吉田の火祭り
明日、26日は静岡県”島田の帯祭り”、愛知県稲沢市”国府宮の裸祭り”と
並び称される、日本三奇祭のひとつ「吉田の火祭り」が催行される。
富士登山の山じまいを告げる祭りでもあり、火防、安産、産業の守護神として
奉られている無戸室(うつむろ)の猛火の中で皇子を安産した祭神木花開耶姫命
(このはなさくやひめのみこと)の故事に基づくと云われている。
本町通り1.5キロに大松明80基・通りに面した家々でも井桁に組んだ松明を
燃やし、通りが火の海の様相を呈する。灯りの無かった昔は、昼の様な明るさと
表されている。
27日は町を巡幸し御旅所に奉安された神輿が北口本宮冨士浅間神社に還御する。
灯りが消され真っ暗な境内に、かがり火が焚かれ、世話人の灯す提灯に案内され
お明神神輿が高天原と呼ばれる場所を数回周り、お山さんの入場を促す。そして
入場、2基の神輿と一緒にススキを手にした参拝者が、家内安全・商売繁盛・
安産の願いを込め高天原を回り、祭りは最高潮に達する。
諏訪神社に2基の神輿が奉安され、拍手と歓声が境内に響き渡り、参拝者は
帰りだすが神事は続く。喧騒が去り、静寂が戻った境内に、かがり火のはぜる音だけが
聞こえる中、世話人の灯す提灯。神官が神輿からお魂を抜き、絹垣で囲んで境内を
本殿まで還御する様は、まさに神秘的な雰囲気を醸し出し、いにしえの時へタイム
スリップさせてくれる瞬間だ、出来たらここまで観て欲しい。
この祭りが終わると富士山麓は一気に秋の気配へと移って行く。
”吉田の火祭り” 平成20年8月26日
26日・7時0分・気温19℃
小雨降る中、お旅所から広がった大松明への点火が、金鳥居下の1本だけとなった。
下町世話人7人が一列に並び、先輩の激励を受ける。大松明のスポンサー会社の方々が
最後の1本に点火式を行なう。雑踏の中で、世話人が声高々と「○○会社様大松明に
火が入ります、皆様、拍手を御願致します!」沢山のフラッシュと拍手に包まれる。
大松明の前に世話人が一人づつ家族と共に並び、記念撮影を行なう。その顔は、皆
誇りに満ち溢れ、晴れ晴れとした表情をしている。その脇で、どこか照れくさそうな
面持ちの奥さんが印象的だ。家族の支え無くしては出来ない世話人、こうした方々の
ご奉仕で、祭りの伝統は400年の歴史を刻んでいる。
”27日・すすき祭り”
27日・気温21℃
17時50分、お泊り頂いている吉沢さんファミリーと、友人の渡辺さんの、計6名で
車に乗り出掛けた。直前に花火が鳴ったので、神輿は横町信号を出発した所だ。
歩道橋まで来ると、人だかりは神社の方へ動いている。交通規制を避け、裏道を走り
神社の近くへ車を止めた。
神輿に追い付く様、急ぎ足で歩く、その甲斐もあり、神輿が渡る参道へ先回り出来た。
町内を巡幸した神輿が境内の杜に、吸い込まれる様に入って行く姿が撮りたくて
皆を残して歩を進めた。決めていた場所に着くと、程なく明神神輿が迫って来る。掛け声の
「ヨイ!ヨイ!・ヨイ!ヨイ!」も、心持ち軽く聞こえる。1年振りに、また逢えた事に感謝である。
暫し間を置き、御山さんが参道へ入って来る。こちらの「ヨイ!ヨイ!・ヨイ!ヨイ!」は御山さんの
重みに耐える男達の声が重低音となって聞こえ、一層迫力を増す。
神輿は杜の中を御鞍石と呼ばれる場所へ向かう。
参道には、神輿を担ぐ勢子達が、やっと通れる広さの所もあり、補助に肩を入れる
事が出来ない。そんな所では重みで御山さんが沈みだす。叱咤激励の声が飛ぶ!
「セーノ!」の掛け声で、御山さんが、また浮かび上がる。そんな光景を目の当りに
すると、まさに、この土地は、富士山を推し抱き、富士山に抱かれているという実感が
湧いて来る。
御鞍石へ到着すると拍手と歓声に包まれる。
勢子達は疲れ、皆、周囲に座り込む、額の汗が、かがり火に照らされ輝く。
御鞍石では神官による神事が執り行われる。
この後、神社近くで上松の神事を行ない、神社境内へと神輿は入場する。
待ち受ける明神御輿、世話人の先導で御山さんが見えると、沢山のフラッシユが焚かれる。
その光りの瞬きの中、2基の御輿が時計回りに、高天が原の周囲をススキを手に持つ観衆を
引き連れ回り出す。迫力に圧倒され、鳥肌が立つ瞬間だ。
7周りし動きを止め、神事を行い御輿は諏訪神社に奉安され、歓声と拍手に包まれる。
すかさず、世話人は参道の両側に並び、御輿を担いだ勢子の皆さんへ祭典無事終了の感謝の
意を込め、丁重に挨拶をして見送る。勢子と抱き合い硬く握手し、称え合う者もいる。14名の
世話人の目には熱いものが迸る。
その間、諏訪神社内では還幸祭が執り行われ、境内のライトが消され神社の杜は松明の灯りと
世話人の持つ提灯の灯りだけの世界へ変わる。人の数が減り、静寂の戻った境内に笙の音が響き
世話人の持つ提灯に先導された絹垣が、静々と本宮へ向かう。 動 と 静 幽玄の世界が目前で
繰り広げられ、古の時を彷彿させてくれる。
世話人が本殿前まで絹垣を送り、整列し提灯を掲げ、拍手と歓声に包まれススキ祭りは終焉を迎える。
男達の顔は、祭典前とは違って輝きを増し、祭りを無事執り行った自信と誇りに満ち溢れ、眩しい
くらいであった。一火祭りファンとして出来たらココまで観て欲しい。今日まで400年、紡いで来た
伝統があるのだから。
近年、祭典世話人のなり手が少なく、後任を見付けるのが苦労と聞き及ぶが、世話人がいなくては
立ち行かない火祭り、これからも、この伝統を絶やす事無く続く事を願ってやまない。
祭典世話人に感謝して
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投稿者 pinetree : 2007年08月25日 10:33